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project

非常勤講師も務める東京芸術大学の台東区のプロジェクトで、
雷おこしや佃煮など100年以上も続く名店などが加入している
「台東観光みやげ品協会」の新たな視点での写真展を行いました。

client

TaitoCity

credit

AD: Wataru Nihei
CD: Masahiko Nagahama / Kazuyuki Hashimoto
Designer: Shoko Higasa / Wataru Nihei
Photographer: Takuo Itayama
Retoucher: Keita Koizumi / Nobutaka Hattori
Writer: Takashi Kato
Creative Agency: Tokyo University of the Arts
Design Agency: SHIROKURO.inc
Client: TaitoCity

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歴史があるから、
挑戦する?

年間4000万人以上もの観光客が訪れる台東区。100年以上も続く名店ふくめた「台東観光みやげ品協会」店舗の皆様は「新たにデザインをする」というところに最初は消極的で、「みやげ品協会様の商品を小分けにし、1パックで買える商品を作りましょう!」とか「みやげ品協会の期間限定バッグとか作りましょう!」とかいくつかの提案をしても響かなかったところから始まりました。なぜなら問題なく売れている状況なわけですから新たなデザインの必要性を感じていないわけです。

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潤っていても
可能性はなくならない。

地方では新たにデザインをすることで活気が生まれているところもあるわけですが、どうやら今回の答えはそこではない。であれば、100年以上も続くその店の伝統、プライドに敬意を払いつつ、新しい何かを生むのではなく、「商品のもつ良さをミクロに掘り下げ、マクロに広げる」視点でそこに潜む「粋」をテーマに写真を撮ることを試みました。

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伝統みやげということで、江戸、和といった固定観念が邪魔をして最初はとても苦労しました。最初は6店舗の撮影。コレだけでプロジェクト自体も一昨年で終わる予定でした。しかし各店舗の皆様の「目」が変りました。自社の商品にこんな魅力があったのかと、今まで重かった各店舗の代表者の口が少しづつ開きはじめました。

そして6店舗で終わるはずのプロジェクトが29店舗の皆様の写真を撮ることになり、プロジェクトも1年延長し、展示にいたりました。

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粋とはデザイン?

書籍、九鬼周造著『いきの構造』によりますと、作者の考える粋の定義は3つあります。

1.垢抜けして(諦) あっさり、すっきり、瀟洒(しょうしゃ)たる心持”であり、 この“あっさり、すっきり”は諦(あきら)めに通じる。

2.張りのある(意気地) 生粋(きっすい)を江戸児の誇りとする、江戸文化の道徳的理想の反映 “宵越しの銭は持たぬ。”の誇りとなった。

3.色っぽさ(媚態) 時代の特徴であり遊郭があった時代の遊びとしての歓楽や異性との交遊。 現代社会の男女同権の視点とは懸離れた「いき」に戸惑いを感じる。 これはデザインの考えにも似ているように思えます。

1.シンプルに言いたいこと、2.特徴を捉え、 3.興味を持ってもらえるように美しく仕上げる。 この共通項を制作意図に写真をディレクションしていきました。

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デザインをするということは「新しい価値を生む、作る」といった部分がフューチャーされがちですが、それが全てではないと改めて認識するきっかけになりました。ブランディングという言葉が「新しい価値、デザインを施す」と誤解されてしまっている、デザイナーや、アートディレクター、制作する者が本来のブランディングを間違って認識しているのではないか?とも思えたり。

もちろんそういう判断も必要なのですが。。 今回の写真、「新しい」という見方もしていただけるかもしれませんが、僕の中では今回の写真群、けしてそうではありません。本来もっていた価値に少し胸を借りた。そんなつもりで制作させていただきましたし、「それでいいんだなぁ」っておもったり。今回嬉しかったのは各店舗の皆様が自分の店の商品の写真を見ながら僕に自慢してきてくれるわけです、「ウチの商品いいだろ!」って。そう口に出してくれる、自信を持っていただけた、ウレシイです。

UNSIGNEDな職人のプライドが詰まっています。
きっとこれからも何百年も続くってのはこういったことなのかもしれません。

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